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アクティブラーニング(世界史) 東大世界史から見る国際政治

2021年 12月09日
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高校3年生の世界史(Ⅰ・一貫コース)で、アクティブラーニングが実施されました。すでに教科書の範囲は全て終わっていますが、最後に学んだ現代史は苦手とする受験生が多い分野です。そこで東大の論述問題を利用し、「問いを貫く大きなテーマ」について考えさせながら、現代史を勉強する視点を作ることを目指しました。

生徒は数人の班を作り、相談しながら東大の論述問題を解いていきます。教員は各班をまわり、解答を書くためのヒントとなる考え方を適宜伝えていきます。なお教科書や授業プリントは閉じさせています。

第二次世界大戦後の世界秩序を特徴づけた冷戦は,一般に1989年のマルタ会談やベルリンの壁の崩壊で終結したとされ,それが現代史の分岐点とされることが少なくない。だが,米ソ,欧州以外の地域を見れば,冷戦の終結は必ずしも世界史全体の転換点とは言えないことに気づかされる。米ソ「第2次冷戦」と呼ばれた時代に,1990年代以降につながる変化が,世界各地で生まれつつあったのである。

以上のことを踏まえて,1970年代後半から1980年代にかけての,東アジア,中東,中米・南米の政治状況の変化について論じなさい。解答は,解答欄に20行以内(1行約30字、計約600字)で記述し,必ず次の8つの語句を一度は用いてその語句に下線を付しなさい。(東京大学 文 2016年 文章を少し訂正)

アジアニーズ(注)    イラン=イスラーム共和国    グレナダ    光州事件
サダム=フセイン    シナイ半島    鄧小平    フォークランド紛争
(注) アジアの新興工業経済地域(NIES)

教員講評

生徒は指定語句から容易に国や地域を判別し、解答として要求される年代に応じて必要語句を補うことができた。ただしその語句をひとつのテーマに沿って文章にしていく作業には苦労したようだ。最終的に、①民主化の進展、②欧米諸国の影響からの離脱、③経済発展の3つに分かれたようだが、多くの班が①民主化の進展を軸として議論を進めていた。韓国の光州事件と中国の天安門事件の比較からその視点に気づく班が多く、全体的によく書けていた。
現代史は他地域で同時並行的に進む世界史を理解する必要があるが、よい訓練になったと思う。