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アクティブラーニング(世界史) ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか?

2023年 11月04日
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ヒトラー率いるナチスは、1932年選挙で国民の支持を集めて第1党となりました。

ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのでしょうか?

高校3年生の世界史で、アクティブラーニングの形式で学びました。

 

生徒たちは、ゲッベルスとヒトラーの演説を聞き、①ナチスの政策や主張の特徴を読み取り、②ドイツ人がヒトラーを選んだ理由を考えました。

個人で考えた後は、班で意見を出し合って共有し、代表者に発表してもらいました。

 

【生徒の意見まとめ】

① ナチスの政策や主張の特徴を演説から読み取ってみましょう

 ・ユダヤ人への批判

 ・共産党への批判(共産主義への恐怖を煽る)

 ・社会民主党政権(ヴァイマル共和国)への批判(インフレなど現在の状況をヴァイマル政府のせいにしている)

・民主主義への批判

・メディア(報道)批判(メディア利用)

 ・外国批判(他国を信用しない)

 ・ドイツ民族の復興、愛国心を高める(ドイツ人が自らドイツをよくする)。

 ・国民に直接話す

 

② ドイツ人がヒトラーを選んだ理由を多角的に考えてみましょう

 ・ヴェルサイユ条約で多額の賠償金を課せられて、ヒトラーなら負担や生活の困窮を何とかしてくれると期待したから。

 ・それまでの社会民主党政権に対する信用がなかったから。

・世界恐慌で経済が破綻しており、失業者が増加していたから。

・金持ちやユダヤ人に対する不満があった。

・第一次世界大戦後の苦境の中で、強いリーダーがドイツを救ってくれると思ったから。

・ヒトラーの演説うますぎ(同じ言葉を繰り返す、わかりやすい言葉を使う)。

・ドイツ人やドイツのことを第一に考えてくれそう。

 

【教員講評】

ユダヤ人に対する批判だけでなく、共産主義やヴァイマル政府に対する批判、ドイツ民族復興の訴えなど、ナチスの基本的な政策や主張はよく読み取れていた。報道批判に気づいた班がひとつあり、よい視点だと感じた。

 ドイツ人がヒトラーを選んだ理由についても、ヴェルサイユ条約の内容や世界恐慌に絡めて、ドイツを変えて自分たちの生活を良くしてくれる救世主や英雄のような存在としてヒトラーを見たのではないか?という方向の意見が多かった。

 演説のうまさに言及する班も多かったが、その中でも同じ言葉の繰り返しやわかりやすい言葉での演説など、演説の工夫に着目した班もあった。

 ナチス政権は民主的な憲法のもとで合法的な選挙によって成立しました。その背景を世界史の視点で生徒たちが考えることは、とても重要だと考えています。

 

【今回の授業の紹介】

https://www.youtube.com/watch?v=DKa1sd8C9XE